「設計・分析・管理のすべて」を拝読いたしました
戸根先生
はじめまして。吉田と申します。
業界の片隅で、いちインフラエンジニアをやっております。
「ネットワークはなぜつながるか」(第2版)を読ませていただき、一般的なネットワーク関連書籍と
違って各レイヤの技術の成り立ちや意義を俯瞰的に説明される著述に感銘し、他のご著作として
先日「設計・分析・管理のすべて」を読ませていただきました。
本書でも、ネットワーク設計からトラフィック分析、はてはセキュリティまで、あらゆるインフラ周り
のトピックについて説明されており、「あの技術の背景はこういうことだったのか」と腹に落ちる思い
をする点が多く、楽しい読書体験をさせていただきました。ありがとうございました。
本書について、2点ほどお尋ねさせていただけますでしょうか。
Q1. P.410の「図28 二重化の注意点」の説明について
(a)単純な二重化のケースにおいて、②を通って左下のL3スイッチに届いたパケットは、
(左下のL3スイッチがStandbyのままなので)棄てられる、と説明文に記載がありますが、
左下のL3スイッチに届いたパケットは、L2レベルで④⇒③と転送されて左上のActiveの
L3スイッチに届き、結果的に正しく中継(ルーティング)されることになりませんでしょうか?
Q2. 本書は「ネットワークはなぜつながるか」に劣らない名著と個人的に思うのですが、
2002年に発行されて以降、改訂なされていないようです。
現在でも十分に通用する内容とは思いますが、最近の新しい技術も盛り込んだ改訂版が
出ると望外の喜びなのですが、今のところご予定はございませんでしょうか。
以上、とりとめのない書き込みで申し訳ありません。
お時間おありの際にでもお目通しいただけますと幸いです。
よろしくお願い致します。
コメント
シミュレータで、動きを自分の目で確認すると分かりやすい
吉田さん
はじめまして。
いろいろお読みいただき、ありがとうございます。
> Q1. P.410の「図28 二重化の注意点」...
あの本は15年以上も前の本で、
当時はそういう製品もあった、ということです。
原理上は、おっしゃる通りに動くはずです。
> Q2. 本書は「ネットワークはなぜつながるか」に劣らない...
嬉しいお言葉です。ありがとうございます。
ただ、改訂版となるとどうでしょう。
私の意向だけでなく、出版社の都合もありますから。
10年ひと昔以上の年月が経ち、世間の状況も大きく変わりました。
特に、ネットワーク技術を習得するという視点に立つと、
GNS3を始めとした、仮想化技術を用いたシミュレータを
気軽に使えるようになったところに大きな差があるように思います。
シミュレータを用いてネットワークの動きを再現し、
その動きを見ながら理解して行けば、
本を読むより分かりやすいですし、
パケット一つ一つの詳細な点に至るまで、
的確に理解できるようになります。
設定変更したときの動きの違いも分かりますし、
シミュレータで試した結果を実地に応用することもできますから、
実践的でもあります。
そういう状況で、改訂版を出す意味がどの程度あるのか、
という気になってしまうんですね。
そういえば、GNS3の新バージョンがもうすぐリリースされますね。
今も、リリース候補版(rc3)なら利用可能です。
不安定な部分もありますが、試してみると面白いと思います。
下記URLです。
http://gns3.com/
EVE-NG(旧UNetLab)というのもあります。
昨年夏以来開発が止まったように見えましたが、
装い新たに、再開したみたいです。
http://www.eve-ng.net/
ご返信ありがとうございます
戸根先生
吉田です。
ご返信いただきましてありがとうございます。
>Q1
なるほど、本書が発行された当時は製品の状況も違っていたのですね。
私はソフトウェア開発エンジニアからインフラエンジニアに転向して
まだ4年の若輩でして、昨今の製品の機能を当たり前のものと考えて
しまっておりました。大変失礼いたしました。
しかし、15年以上も経った今でもこれだけ興味深く読めるということは
本書が表面的な知識でなく、基本的な考え方について書かれているからなの
でしょうね。そういう意味で、ネットワークを学び始めたエンジニアはもと
より経験を積んだエンジニアが頭を整理するためにも、発行年月は古くとも
やはり私にとってはお奨めの書籍です。
>Q2
シミュレータの情報どうもありがとうございます。
私も後進の指導を任される立場になってきましたが、高価な実機がなくても
自分で動作を1つ1つ確認できる環境は、育成という点で本当に強力ですね。
日々目先の案件処理に追われるあまり、私自身はこれまで使っていなかった
のですが、実地に応用可能とのことで、エンジニアリング作業を効率化する
ことにも活用できそうですので、早速試してみたいと思います。
お忙しいなか、ご教示いただきまして本当にありがとうございました。
いちインフラエンジニアとして、今後のご著作も楽しみにさせていただきます。