ネットワークはなぜつながるのか
ネットワークはなぜつながるのかを購入し楽しく読んでいます。
初歩的なことで恐縮なのですが下記ご教示お願いいたします。
1.p82 MACヘッダーをIPヘッダーの前につけたらパケットは完成。そこまでがIPの担当。
とありますが、
データにIPヘッダーをつける ------ IPの仕事
上記のものにMACヘッダーをつける ----- データリンク層の仕事
とはならないのでしょうか。
2.パソコン ー モデム - インターネット の場合、グローバルIPはパソコンに割り当てられる
ということでよいでしょうか。
その場合p209にはグローバルIPはLANアダプターに設定するとありますが、LANアダプ ターのどこに設定するのでしょうか。
またグローバルIPの保存はハードディスク上になるのでしょうか。
ご面倒お掛けしますが宜しくお願いいたします。
日時:
04/07/18 15:48
コメント
OSIモデルは現実とは違う
ひろしさん,はじめまして。
> データにIPヘッダーをつける ------ IPの仕事
> 上記のものにMACヘッダーをつける ----- データリンク層の仕事
> とはならないのでしょうか。
OSIモデルの考え方に従うとそうなんですが,現実は違います。
IPもイーサネットも,OSIモデルが誕生する前に作られたもので,
OSIモデルの考え方に則って作られたものではないからです。
実際に機器やソフトウェアを設計開発する立場になって考えてみるとわかるのですが,
このOSIモデルの役割分担は現実的ではないんです。
だから,OSIモデルのことは忘れた方がよいと思います。
>2. パソコンーモデム-インターネットの場合、グローバルIPはパソコンに割り当てられる
> ということでよいでしょうか。
ここで言っているモデムというのは,ADSLモデムのことですよね。
そのつもりで書きます。
USBインタフェースなどでADSLモデムをパソコンに直結する場合は,
(今の日本のプロバイダではこの形態は少ないと思いますが)
パソコンにグローバルアドレスが割り当てられます。
IPのルールは,パケットを送受信する通信用インタフェースに
IPアドレスを割り当てることになっていますから,
正確に言うと,グローバルアドレスはパソコンではなく,
モデムを接続したインタフェース(USB)に割り当てられます。
PPPoEによって,イーサネット経由でブリッジタイプのADSLモデムに接続するときは,
パソコンの内部にPPPoE用の仮想的なインタフェースを作り,
そこにグローバルアドレスを割り当てます。
>LANアダプタのどこに設定するのでしょうか。
うーむ。答え難い質問ですね。
本当は,LANアダプタのハードウェアに設定するわけではないんですよねぇ。
LANアダプタは,LANドライバを通じてOS内部のプロトコルソフトが制御します。
だから,どのLANアダプタにどんなIPアドレスが割り当てられているのか,
その値を保持/管理するのはOS内部のプロトコルソフトの役割になります。
その意味では,IPアドレスを設定する場所はプロトコルソフトだといってよいでしょう。
しかし,普通はそこまで掘り下げて考えることはなく,
LANアダプタにIPアドレスが割り当てられていると見なします。
>グローバルIPの保存はハードディスク上になるのでしょうか。
普通,インターネットの場合は,PPPという方法でアドレスを割り当てますが,
その場合,ネットワーク側から割り当てたアドレスは,
ネットワークに接続している間だけメモリ内に保持するだけで,
ハードディスクなどに保存することはありません。
ネットワークから切断したり,電源を落としたらアドレスは消えるということです。
そして,ネットワークに接続するときに,改めてアドレスを割り当ててもらいます。
Re[679] OSIモデルは現実とは違う
便乗の質問で恐縮なのですが...
>IPもイーサネットも,OSIモデルが誕生する前に作られたもので,
>OSIモデルの考え方に則って作られたものではないからです。
OSIモデル:1984年(手元書籍の受け売り)
IP: 1981年(RFC791)
Ethernet: 1981年(DIX仕様のバージョン1)
...と認識であっていますか?
最近(に限ったことではないかもしれませんが)年表のいい加減な本が多くて泣かされています。
年号の解釈は要注意
福光さん,こんにちわ。
年表に載っている年号っていうのは解釈が難しいですね。
技術開発っていうのは,社会的な事件と違って,
ある日突然新しい事が起こるわけではなく,
準備期間といったらいいのでしょうか,
数年以上にわたっていろいろな議論や実験が重ねられ,
その結果が標準仕様にまとめられるわけですから,
仕様が発表された年号だけ取り上げても本質が見えてこないように思うんです。
もちろん,年号とかが誤っているのは困りものですが。
まあ,理屈はそのくらいにしておいて。
>OSIモデル:1984年(手元書籍の受け売り)
OSIモデルの標準化作業はISOとCCITTの両方で行われていたので,
どちらの年号を採用するかで,年号に食い違いが出ることが多いようです。
ISOの方は,
・1977年,委員会設置
・1978年,第1回会合
・1983年,国際標準として承認
CCITTの方は
・1978年,委員会設置
・1981年,正式に研究課題となる
・1984年,国際標準として勧告化
ですね。
>IP: 1981年(RFC791)
これも,いくつか変遷があります。
・1973年頃,TCPの研究開発が始まった
(最初,IPはTCPと一体化されていたから,これがIPの始まり)
・1978年,TCPとIPが分離された
・1981年,RFC791が発行
>Ethernet: 1981年(DIX仕様のバージョン1)
こちらは,Xerox社内で研究が始まったのが1972~73年頃のようです。
で,DIX-1は1980年9月,DIX-2は1982年11月だと思います。
Re 年号の解釈は要注意
戸根先生
歴史はなかなか記述が難しいですね。
回答ありがとうございました。