ストレートケーブル

まさるです。MTUについてのご回答ありがとうございました。
Ethernetが高速になってきたからこそジャンボフレームが登場したわけですね。納得いきました。

ところで連続で申し訳ありませんが、もう一つ質問です。
「ネットワークはなぜつながるのか」の P.124 図3.2 をみて、MDI,MDI-Xについて理解できました。
そこで疑問に思ったのは、「そもそもストレートケーブルは何の為に作られたのか」という事です。

通信の一番最初の状態ではパソコン同士を1対1で繋いでみるでしょうから、クロスケーブルの方が先に世の中に誕生したと思います。
HUBが普通にMDIであれば、パソコン-HUB間もクロスケーブルが使えます。
パソコン-ルータ間はストレートケーブルを使うようですが、ルータがMDI-Xであればクロスでいけると思います。
ですから10BASE-Tの規格を決めるときに、
・ルータはMDI-X、その他はMDI
・ケーブルは全てクロス
としておけば、ストレートだクロスだと悩まされる事なく、シンプルだったと思うのですが??

名前: 
まさる
日時: 
04/05/27 08:54

コメント

まさるさん,こんばんわ。

>通信の一番最初の状態ではパソコン同士を1対1で繋いでみるでしょうから、

これが,そうじゃないんですよ。
イーサネットっていうのは,
多数のコンピュータを,高速に,安価に,接続することを目的に考案されたものです。
だから,最初から2台じゃなくて,多数のコンピュータをつなぐことが前提だったんです。
それから,イーサネットの原型はツイストペアケーブルを使ったものではなく,
1本の長い同軸ケーブルに多数のコンピュータをつなぎ込む方式でした。
10BASE5っていう仕様が,その原型を元にして作られた標準仕様です。

>クロスケーブルの方が先に世の中に誕生したと思います。

上のような経緯がありますから,
先に登場したのはストレートケーブルの方です。
そこには背景がもう一つあります。
それは,ツイストペアケーブルっていうのは,
元々は米国で電話用のケーブルとして使われていたもので,
それをLANに転用した,というものです。
で,電話用ケーブルはストレートでした。

>・ルータはMDI-X、その他はMDI
>・ケーブルは全てクロス

元々は,
・リピータハブがMDI-X
・コンピュータはMDI
・スイッチングハブはMDI
・ルータはMDI
でした。
ネットワークには,DCE(網側のインタフェース)とDTE(機器側のインタフェース)
という考え方があるんですが,この考え方に従って,
DCEはMDI-X,DTEはMDI,というルールだったんです。
イーサネットというネットワーク方式があり,その方式の視点に立つと,
リピータハブがネットワークの本体となりますから,リピータハブのポートはDCEで,
コンピュータ,スイッチングハブ,ルータはいずれも,
イーサネットにつながる機器なので,
そのポートはDTEだということです。
でもって,DTEをストレートケーブルでDCEに接続するっていうのが元々の考え方でした。
だから,この時点ではクロスケーブルっていうのはなかったわけで,
混乱もありませんでした。

混乱するようになったのは,スイッチングハブの価格が下がり,
そこにコンピュータを直接接続するようになってからです。
昔は,スイッチングハブが高価だったので,
そこにコンピュータを直接接続するのではなく,
何台かをリピータハブにつないで,
そのリピータハブをスイッチングハブにつないでいたんです。
それが,スイッチングハブの価格が下がったので,
リピータハブを使わずに直接スイッチングハブにコンピュータをつなぐようになりました。ところが,スイッチングハブはMDIでコンピュータもMDIだから,
そのままではつながりません。
そこで,クロスケーブルが登場するわけです。
でも,この方法だと,やれクロスだストレートだ,と面倒くさいので,
スイッチングハブはMDI-Xにして,ストレートケーブルでコンピュータやルータをつなごう,
ということになりました。
これが現在の姿です。

それから,クロスケーブルが登場したときに,
これならコンピュータ同士を直接つなぐこともできる,ということになり,
コンピュータ同士を1対1でつなぐ方法が出てきたというわけです。

ちょっと長くなりましたけど,いろいろな経緯があって現在に至っているんですね。
10BASE5にまでさかのぼらないと本当の経緯はわからないんですけど,
まあ,これで大体の経緯はわかると思います。
そういう経緯が混乱の元なんですが,
その経緯がなければ今のネットワークもないので,
まあ,ある程度の混乱は仕方がないのではないかと思ったりもします。

>ネットワークには,DCE(網側のインタフェース)とDTE(機器側のインタフェース)
>という考え方があるんですが,この考え方に従って,
>DCEはMDI-X,DTEはMDI,というルールだったんです。
なるほど!そういう事なんですか。
リピータハブを中心に考えれば良いわけですね。すっきりしました。

ただ、一つ理解できないのは、ルータ同士をイーサネットで繋ぐ場合は同じMDIなので、クロスで接続する必要がありますよね?
昔はクロスケーブルは無かったとの事ですが、どうしてたんでしょ?

>昔はクロスケーブルは無かったとの事ですが、どうしてたんでしょ?

なかったというのは,世の中に全く存在しなかったということではなくて,
広く普及していなかったといいますか,
まあ,市販されていなかった,と思ってもらっていいんじゃないかしら。
市販されていなくても,MDIとMDI-Xの考え方がわかっていれば,
ケーブルを自作できますから問題ありません。

それから,クロスケーブルじゃなくて,
リピータハブを経由してルータをつなぐっていう方法もあります。

>市販されていなくても,MDIとMDI-Xの考え方がわかっていれば,
>ケーブルを自作できますから問題ありません。
なるほど。
昔の人は偉かったんですねぇ(笑)

>それから,クロスケーブルじゃなくて,
>リピータハブを経由してルータをつなぐっていう方法もあります。
そう言われればそうですね。
ハブにはそのような使い道もあるわけですね。

丁寧なご回答ありがとうございました。
また何か疑問に思うことがありましたら書き込みますので、よろしくお願い致します。